増員期のオフィス問題を「工事なし」で解決|ヘッドセットを利用した新しい移転・改装費用削減方法とは

WEBミーティングが定着したことで、電話や対面中心だった商談も、オンラインへ移行するケースが増えています。
拠点の成長フェーズでは、スタッフ増員に伴って座席の距離が近づき、隣席どうしのWEB会議が重なることで、周囲音の混入や聞き取りづらさが起きやすくなる点を見落としがちです。
手狭になってきた段階で、WEBミーティングブースの設置やオフィスの増床・移転、レイアウト改装を検討するのは一般的ですが、都内で10坪増床すると、年間約260万円の固定費増となり得ます。
その意思決定の前に、検討すべき選択肢が「ヘッドセットの導入」です。
ヘッドセットの導入は、工事を伴わず、必要な部門・人数から段階的に着手できる選択肢の一つだと言えます。
周囲音の影響を抑えながら通話品質を安定させることで、増員期の「環境がボトルネックになる」リスクを下げやすくなるでしょう。
本記事では、増床・移転による固定費(賃料)増の考え方と、ヘッドセット導入に置き換えた場合のコスト比較をもとに、増員期における現実的な検討ポイントを整理します。

AiR-WiFi Magazine代表編集者(外部編集者)
/取材・編集担当
河村亮介(カワムラリョウスケ)
大手通信系メディアでの寄稿・監修経験を元にAiR-WiFi Magazine編集部の企画・執筆・編集を担当。忖度のないフラットな情報を届けることをポリシーとしている。WEBサイト運営事業GreenEchoes Studio代表を務める他、キーボード専門メディアGreenkeys編集長、日本語配列キーボードの規格に関する民間団体「Japan Layout Alliance」事務局長などを兼任。
スタッフ増員に伴って起きやすい「通話環境」の課題

事業拡大のフェーズにおいて、スタッフの増員は自然な流れと言えます。
ただし、スタートアップ時はミニマムに事業を開始するケースが多く、増員に伴い座席密度が上昇してしまうのは避けられません。
座席密度が上昇した結果、下記のような事象が発生する可能性が高くなります。
- 架電時やWEB会議の際にヘッドセットマイクから周囲の話し声が混入する
- 周囲が騒がしいことによる顧客に対する聞き返しが増加する
これら二つの事象は、直接的に会社イメージの悪化につながる可能性があり、二次的な弊害として、聞き返しが多発することによる「通話時間の延長=業務時間増加=業務効率の悪化」も懸念されます。
さらには、「会話に集中できない」「聞き返しにより思考が一時停止する」ことが影響し、会話の組み立てが不安定になった結果、商談内容自体にも影響がある可能性すらあります。
増員に伴う増床・移転・改装工事に踏み切りにくい理由

こうした「スタッフ増員に伴う弊害」に関しては、KPIとして数値化しなくても「業務効率が落ちてしまっている気がする」というのは、敏感な統括責任者であれば感じることができるでしょう。
多くのケースでは、スタッフ増員に伴うオフィス環境の悪化に関しては、増床・移転・改装工事などの「ハード面への投資」が検討事項として挙がります。
ただし、これらの投資は「一度行ったら戻せない」ものが多く、金銭的な負担も大きいことがネックとなり、対応に踏み切りにくい理由となっています。
スタッフ増加時に発生する経営責任者の悩み
- ハード面への投資額が大きく、後戻りができない
- 移転などに伴う年間のランニングコスト増加が大きい
- 工事の場合はレイアウト調整や合意形成などに時間がかかる
- 個室ブースは魅力的だがそもそも借りているフロア自体が狭く現実的ではない
など
参考:都内の増量に対するコスト増加について
東京都内でオフィス移転を行い、10坪の増床を行なった際の年間ランニングコスト目安は下記の通りです。
- 都内(都心5地区)平均賃料:21,648円/坪(2026年1月)
- 10坪増やす場合:年間 2,597,760円(=21,648×10×12)=約260万円/年の固定費が増加
- オフィス移転費用:〜約100万円程度(距離や内容によって変動するため目安値)
コストパフォーマンスに優れる「高性能ヘッドセット導入」について

スタッフ増加に伴う「応対品質低下問題」の解決手段は、オフィス移転や個室ブース設置といった「大きな投資」以外にも解決できる手段があります。
それが、「高性能ヘッドセット」を導入することです。
高性能ヘッドセットとは
高性能ヘッドセットは、通常の安価なヘッドセットと比較して、次の二点が異なります。
遮音性が高い
- ヘッドフォンタイプであれば耳自体を覆う「密閉型(クローズド)」で、周囲の音が聞こえにくくなります
- イヤフォンタイプであればカナル型(耳の穴を塞ぐタイプ)となっていることが多く、耳栓のような役割で周囲の音が聞こえにくくなる
マイクの指向性が明確
- 一方向の音以外はカットする「単一指向性(カーディオイド/スーパーカーディオイド)」となっており、周囲の音がマイクに入らない
その他にも、ビジネス用ヘッドセットごとに下記のような特性を持った機能を備えています。
ビジネス用高性能ヘッドセットの特徴▷▷
ビジネス用高性能ヘッドセットの特徴
- ANC(アクティブノイズキャンセリング)|物理遮音では残る低域ノイズ(空調・交通音など)を電子的に低減。空調音やフロアノイズを抑え、長時間通話の集中力低下を防ぐ。
- 透過モード(HearThrough / Transparency)|遮音・ANCのままでも、必要なときだけ周囲の声を意図的に取り込む。呼びかけ対応や現場指示が多い職場で便利。
- マイク側ノイズ抑制(DSP / AI、複数マイク)|指向性だけでは残る周囲音(隣席の会話、キーボード音、反響など)を、アルゴリズムでさらに抑える。
- サイドトーン(自分の声の返し)|密閉+ANCだと自分の声がこもって話しづらいので、話している自分の声を適度に返して自然に会話しやすくする。
- ミュート操作の安全設計(ブーム跳ね上げミュート/自動ミュート等)|会議の“ミュート事故”を減らす。日常運用でのストレスが減り、クレームリスクも下がる。
- Busylight(通話中サイン)|通話・会議中を周囲に知らせ、話しかけによる中断を減らす。密なオフィスや架電人数が多い環境で効く。
- 聴覚保護(突発音保護:SafeTone / ActiveGard 等)|突然の大音量(ハウリング、回線由来のノイズ)から耳を守る。コールセンター系運用では特に重要。
- 通話/会議アプリ連携(Teams/Zoom等の認定、専用ボタン)|アプリ側の操作(応答、ミュート、音量)をヘッドセットで統一しやすい。サポート対応も含めて運用が安定しやすい。
- 接続方式の最適化(USB、有線、Bluetooth、DECT、ドングル)
利用環境により安定性が変わる。- DECT:オフィス内での通話安定性・混線耐性を重視する場合に有力
- USB/ドングル:PC会議の安定運用に寄せやすい
- Bluetooth:スマホ併用や移動が多い人向け
- 運用管理(管理ソフト/ファーム更新/設定配布)|台数が増えるほど効く。設定を揃える、更新を配る、トラブルを減らす、といったIT運用コストを下げる要素。
- 装着性・衛生運用(軽さ、圧迫感、イヤーパッド交換)|長時間装着した際の圧迫感軽減など。
高性能ヘッドセットで解決できること

高性能ヘッドセットを導入することで、先に挙げた二つの課題を解決することができます。
- 他スタッフ音声マイク混入問題|架電時時やWEB会議の際にマイクから周囲の話し声が混入する
- 顧客の声が聞き取りにくい問題|周囲が騒がしいことによる顧客に対する聞き返しが増加する
- 他スタッフの声をヘッドセットマイクが拾う→マイクが単一指向性であれば解決
- 顧客の声が聞き取りにくい→遮音性の高いヘッドセットで解決
つまり、高性能ヘッドセットを導入するだけで、人口過密に起因する「音問題」はすべて解消するのです。
ヘッドセットでは解決できない範囲
一方で、以下のような課題はヘッドセットでは解決できません。
ヘッドセットで解決できない課題
- 労働安全衛生規則で求められる「1人あたり10㎥以上の気積」を下回る物理的過密
- 避難動線や通路幅などの安全基準
- 空調・換気不足による空気環境の悪化
- 物理的な圧迫感や視覚的ストレス
これらは設備・レイアウト・面積の問題であり、適切な環境整備が前提となります。
導入事例紹介|株式会社LeadSTAR
実際にスタッフ増員に伴う「応対品質の低下問題」に対して、ヘッドセットを導入して解決に至った事例を紹介します。

導入背景・課題
- オフィスが比較的狭く、スタッフ間の距離が近い環境で、電話やWEB会議時に「隣の会話」が聞こえることが業務の妨げになっていた。
- 実際に「マイクを通して周囲の声が聞こえる」と顧客から指摘があったこともある。
従来の対策検討と課題
- 個室防音ブースも検討したが、コストが高くスペースが不足する問題があった。
- オフィス移転・防音工事は戻しにくい投資になる可能性も認識。
導入のきっかけ
- FREEDiVEからの案内メールを通じて、ヘッドセットの存在に気づき連絡、導入に至った。
導入製品・台数
- 導入機種:EPOS IMPACT 100 MS Stereo USB-C+A/IMPACT 1060T(ANC搭載モデルを含む)
- 導入台数:10台(ハイエンド〜ミドルクラス)
- 用途:電話対応、WEBミーティングによる顧客対応等
導入後の効果
- 遮音性の改善を体感し、隣席の会話が業務に影響しにくくなった(体感比較が決め手)。
- マイクの単一指向性により、周囲音を拾いにくく、音声がよりクリアに伝わるようになった。
- 通話品質全般の改善も実感。

オフィス移転による賃料の増加と導入コストを比較する

実際に、下記条件で「オフィス移転」と「高性能ヘッドセット導入」によるコストを比較してみます。
- 都内平均賃料で10坪増:約260万円/年の増額(情報参照元:三鬼商事株式会社)
- EPOSベーシック例:IMPACT 100 MS Stereo USB-C+A(標準価格 10,725円(税込)/台)の導入
オフィス移転にかかる費用(年額)
- 賃料増加:約260万円(税込)/年
- オフィス移転費用:約100万円(概算・一回のみ)
- 合計:約360万円
※賃料に関しては翌年以降も継続して増額
高性能ヘッドセットの導入
- IMPACT 100 MS Stereo USB-C+A(標準価格 10,725円(税込)/台)
- 20台導入:214,500円(税込)(概算・一回のみ)
- 合計:約22万円
このように、ヘッドセット導入の方が大幅にコストを削減することが可能となり、この差額は採用費や広告費、営業強化に回すこともできます。
オフィス移転に伴う投資コストを留保することで、事業拡大フェーズの投資効果を最大限に高めることが可能です。
まとめ:スタッフ増員フェーズにヘッドセットという新たな選択肢を

以上、ヘッドセットを用いて、グロースアップ期の「応対品質の低下問題」を解決する方法について説明してきました。
ここまでのまとめ
- 増床・移転は固定費(賃料)が増えやすい:10坪で約260万円/年になり得る
- ヘッドセット導入は小さい初期投資で最大限の課題解決効果が得られる
- ヘッドセット導入は、対象範囲を調整しながら検討しやすい
増員フェーズにおける環境整備は、「面積を広げる」か「何もしない」かの二択ではありません。
固定費を増やす前に、まず音環境を最適化するという選択肢があります。
増床は戻せませんが、ヘッドセットは戻せます。
「応対品質の低下」を数値として客観的に計測・評価することは難しいかもしれませんが、スタッフへの聞き取りによるアンケートなどでも、「音に対する問題」を可視化する取り組みはできるでしょう。
まずは現在の通話環境を把握し、音に起因する機会損失が発生していないかを確認することが第一歩です。
拠点の成長スピードに合わせて、段階的に検証できる改善策として、一度検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社FREEDiVEでは、EPOSヘッドセットの導入相談に関しても承っております。
ニーズに応じたヘッドセットの選定・提案にだけでなく、小規模導入やデモのご相談も可能です。
現在の席数・増員計画をもとに、「増床とヘッドセット導入」の簡易試算をご希望の方は下記からお問い合わせください。
