FREEDiVE富塚氏に聞く|eSIMの選び方ガイド:2026年の市場トレンドとプレイヤー整理

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記事ポジション見解整理・インタビュー記事

この記事は、市場動向や利用現場の知見を整理することを目的とした記事です。インタビューや見解の紹介を含み、記事内では特定サービスに言及する場合があります。

近年では、eSIM対応のスマートフォンが当たり前になりつつあり、数年前と比べて「eSIM」という言葉も身近になってきました。

eSIMは「プロファイルをダウンロードして、すぐに使い始められる」という手軽さがある一方で、サービス数が増えたことで「どれを選べばいいのか分からない」と迷う人も増えています。

そこで本記事では、eSIMを 「メイン」「サブ」「スポット」 の3カテゴリで整理し、選び方のポイントを分かりやすく解説します。

後半では、株式会社FREEDiVE(SkyeSIM)責任者の富塚氏に、2026年の市場感や“選ばれるeSIMの条件”について伺いました。

この記事のポイント
  • eSIMは「価格」だけでなく、用途・体験で選ぶのが失敗しにくい
  • eSIMは メイン/サブ/スポット(プリペイド) の3カテゴリで整理できる
  • 初心者は 価格と一緒にサービス提供内容 を必ずチェック
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AiR-WiFi Magazine代表編集者(外部編集者)
/取材・編集担当

河村亮介(カワムラリョウスケ)

AiR-WiFi Magazine 外部編集者/取材・編集担当。通信分野の寄稿・監修経験をもとに、AiR-WiFi Magazineの企画・取材・執筆・編集を担当。読者が用途や条件に応じて判断しやすい構成を意識して記事制作を行っています。

プロフィール

この記事の立場について

AiR-WiFi Magazineは、株式会社FREEDiVEが運営するメディアです。そのため、本記事では同社が提供に関わるeSIMサービス「SkyeSiM」に触れる箇所があります。本記事は特定サービスの訴求を主目的とせず、eSIM市場の整理と、用途に応じた選び方の解説を目的に構成しています。なお、企画・取材・編集・執筆は外部編集者が担当しています。

目次(見たいところをタップ)

1-1 eSIMとは

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eSIMとは|ひとことで言うと

  • 物理SIM不要でプロファイルをダウンロードする
  • その場で乗り換えが可能
  • 海外旅行でもすぐに使える
  • パケットが足りなくなった場合もその場で買える
  • スマホだけでなくウェアラブルデバイスやIoTデバイスでも使える可能性

まずは、「eSIM」について簡単におさらいしましょう。

eSIMとは、スマホ本体に最初から内蔵された埋め込み型のSIM(Embedded SIM)です。

物理的なカードの差し替えが不要で、オンライン契約後、即日開通できるのが特徴となっています。

これまでの物理SIMカードは、契約から到着までのタイムラグがあり、自身でSIMカードを「入れ替える」手間がありましたが、eSIMではリアルタイムに通信事業者の乗り換えができるようになり、通信の利便性が劇的に改善しました。

また、一つの端末に2つのeSIMを搭載している場合では、もう一方の空いているeSIMスロットに「サブ目的での利用情報」や「海外旅行専用」のeSIMプロファイルを追加することで、使い分けが可能となる点も注目されています。

つまり、通信契約がアプリをダウンロードするのと同じ感覚で行えるようになったといえるでしょう。

1-2 2026年のeSIM市場のトレンド|キーワードは「旅行」と「端末」

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これまでeSIMとこれからのeSIM

  • 端末側では「eSIM中心(物理SIMスロット縮小)」の流れが進み、今後さらにeSIMが一般化すると見られます。
  • 2025年から「海外旅行」シーンで話題になってきた買い切り型eSIM
  • 徐々に日本国内でも旅行やイベント利用向け「スポット利用の買い切り型」が話題

2026年のeSIM市場のキーワードは「端末」「旅行」です。

キーワード|端末

実はeSIM自体はかなり前から存在してきました。

日本としてもeSIMの導入には積極的で、eSIM導入の下地作りを制度的な部分で進めてきました。

  • SIMロックの原則禁止(2021年10月〜)
  • 大手通信事業者への国としての導入要請と「ガイドライン」策定
  • MNPワンストップ方式の導入(2023年5月〜)
  • オンライン本人確認(eKYC)の推進

ただし、ここまで国が主導して動いたのにも関わらずeSIMが普及しなかった理由は「eSIM対応端末が少なかった」ことが一番の要因だと編集部は考察しています。

普及が加速したのは、2025年秋に発売された日本でも広く普及している人気スマホが物理SIMカードスロットを廃止したことが大きな理由でしょう。

これによって、物理SIMカードからeSIMへの移行を後押しするようになった可能性があります。

これまでにもeSIM搭載のスマートフォンは多く発売されてきましたが、iPhone17世代の普及は転機の一つとなりそうです。

キーワード|旅行

世界は「コロナ禍(2020年〜2022年」を経験し、その期間の海外旅行はほぼすべてできない状態となりました。

その間発売されていたiPhoneはeSIMに対応しており、買い替えている間に知らないうちにeSIM対応機になっていたのです。

また、それまでの海外旅行では主流だった「海外専用レンタルWi-Fi」よりも安価に利用できることや、コロナ渦で「非対面・非接触」が慣れてしまったなどの複数条件が重なり、一気に海外旅行時の通信手段としてeSIMが確立されたと予想しています。

eSIMはこれまでの海外旅行体験そのものを変えてきています。

これまでは、レンタル手続きをしてモバイルルーターを借りていたのが、プロファイルだけ購入すればスマホ一つで海外でも日本と同じようにインターネットができるようになったのです。

これは旅行という体験自体を根本的に変える「ゲームチェンジャー」だと捉えることができます。

1-3 「これから」のeSIMの使い道

このように、「その場で通信事業者との契約が完結」する革新的な変化が起こったことで、通信体験自体が根本的に変化していくことが予想されます。

編集部が考える、これからのeSIMの使い道は下記の5つです。

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画像は生成AI-Geminiを用いて作成されました
  1. 国内:普段使い(電話番号あり)
  2. 国内:スポット利用(短期データ)
  3. 海外:旅行利用(単国/周遊)
  4. サブ回線:デュアルSIM運用(仕事/プライベート分離)
  5. IoT/ウェアラブル:今後拡大の余地

1-4 現在のeSIMプレイヤーマップ

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※本マップは編集部による整理であり、特定サービスの優劣・提携・推奨を示すものではありません。

これまでは、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルといった「通信網を持つキャリア(MNO)」、そのサブブランド・オンライン専用ブランドに加えて、キャリアから通信網を借りる形でサービス提供を行う格安SIM事業者(MVNO)の2つに分類されることが多くありました。

しかし、今後はもっと多くのプレイヤーを踏まえた「eSIM戦国時代」に突入していくものと思われます。

昨今では、「国内プリペイドeSIM提供事業者」と「海外専用プリペイドeSIM提供事業者」も加わり、かなり複雑になってきています。

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海外旅行で使えるeSIMは、やはり古くからサービス提供をしてきている海外事業者が強いです。
しかし、サポートは基本的に英語ですし、日本のサービス提供水準で考えると物足りないと思うケースも出てきそうな印象を持っています。

2 FREEDiVE富塚氏に聞く「2026年のeSIM」

ここまで編集部として、eSIMの基本と2026年時点の市場整理を行ってきました。

ここからは、実際にサービス提供の現場にいる立場から、どのようなeSIMが選ばれ、初心者がどこでつまずきやすいのかを聞いていきます。

インタビュイー

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株式会社FREEDiVE 事業戦略・マーケティング統括
富塚 大海 氏

株式会社FREEDiVEにて海外eSIMサービス「SkyeSIM」を担当。
海外渡航向けeSIMの提供・顧客対応・サービス設計に携わっており、ユーザーのつまずきやすいポイントや、実際に選ばれるeSIMの条件を現場目線で把握している。
今回は、2026年時点のeSIM市場の変化と、初心者が失敗しにくい選び方について話を聞いた。

本章はSkyeSIM責任者・富塚氏へのインタビューをもとに構成しています。

特定サービスの宣伝を目的とせず、eSIM市場の動向や選び方を中立的に整理することを主眼としています。

それでは早速、インタビュー内容についてみていきましょう。


2-1 選ばれるeSIMに共通するポイント

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eSIMを取り巻く環境は、ここ1年でもかなり変わってきました。

特に目立つのは、海外旅行向けeSIMの伸びと、eSIM対応端末の広がりです。

ここではまず、2026年3月時点の市場感と、価格以外で重視したい選び方の軸について聞きました。

Q1. 2026年のeSIM市場は、1年前と比べてどのように変化したと感じますか?

富塚氏


回答要点

  • eSIMは“詳しい人向け”から、日常的な選択肢に近づいている
  • 特に伸びが目立つのは海外旅行向けeSIM
  • 端末側の対応拡大も普及を後押ししている

体感として一番変わったのは、「eSIMが“詳しい人向けの選択肢”から“日常的にも利用できるコモディティ寄りの選択肢”へ寄ってきた」ことです。

特に旅行産業に関連しての伸びが分かりやすいですね。

データで見ても、旅行向けのeSIMは市場の伸びがはっきりしています。

CCS Insightの分析*1では、世界でプロビジョニング(eSIMの回線情報=プロファイルを発行・有効化すること)されるトラベルeSIMが、2024年の約7,000万から2030年には2.8億へ増える見立てとなっており、旅行が普及の大きなエンジンになっていることがうかがえます。

市場規模についても、2030年に44億ドルを超える予測が示されています。

もう一つの変化は、eSIM自体の普及率も急速に伸びてきている点です。

GSMAのレポート*2では、世界のeSIMスマートフォン接続数が2025年末に約10億、2030年に約69億へ増え、2030年にはスマートフォン接続全体の約4分の3に達する見通しが示されています。

ここで言う「接続数」は人数ではなく、「eSIMでつながっているスマートフォン回線の数」です。

加えて、実務的に大きいのが環境整備です。

GSMAの同レポートでは、2023年6月時点でスマートフォン向けeSIMの商用提供が世界116カ国で開始されていると整理されています。

eSIMを実際に使える地域が増えていくことで、eSIMが“新しい通信の選択肢”として現実味を帯びてきているのが2026年の流れだと思います。

最後に、対応端末の観点からもトレンドの変化が読み取れます。

北米ではAppleが2022年9月に米国でeSIM-onlyのiPhoneを打ち出したことが普及を押し上げたと、GSMAも整理しています。

さらにAppleは2025年9月、iPhone 17およびiPhone 17 Pro / Pro Maxについて、日本を含む一部地域でeSIM-onlyモデルを提供したと案内しています。

端末側が「物理SIMなし」という選択肢を広げるほど、ユーザーの心理的ハードルは下がり、eSIMの浸透はさらに進みやすくなるでしょう。

日本はeSIM後進国といわれることもあり、まだまだ普及余地がありますが、こうした変化を見ると、eSIMファーストが当たり前になる時代は遠くないのではないかと感じます。

※1 参考:CCS Insight「Travel eSIM market takes flight and disrupts roaming market」
※2 参考:GSMA「The Mobile Economy 2024」


Q2. eSIMサービスが増えた今、価格以外で重視すべきポイントは何でしょうか?

富塚氏


回答要点

  • 価格だけでなく、購入後につまずかない情報設計が重要
  • 開通のしやすさ、回線の前提、サポート、制限条件の4点は特に見たい
  • 今後は「最安比較」より「失敗しない比較」が重要になる

eSIMを購入する際に、価格以外で重要なのは、「eSIMの利用ハードルを下げるための情報がちゃんと揃っているかどうか」です。

eSIMはデジタル商品なので、事前の情報収集時と実際の利用時でイメージの差が出やすいんですよね。

私自身、お客様から直接ご相談いただくことがありますが、実際に寄せられる質問の内容から見ると、日常的にeSIMを利用するお客様が重要視している観点は、大きく分けて次の4つがあると感じています。

1.開通体験(オンボーディング)の分かりやすさ

eSIMは購入後にプロファイル(回線設定情報)を端末に入れます。QRコードの読み取りだけで終わるのか、別にアプリが必要なのか、途中で有効化に失敗したときの復旧手順はあるのか。
この部分の説明が丁寧なほど、eSIM初心者の失敗は減ると思います。

2.回線品質の“前提”が明示されているか

海外系eSIMの多くは、サービス運営事業者によって「ローミング」や「複数キャリア切替」など、提供している回線の種類や仕組みが異なります。
仕組み自体に優劣があるというより、どのような回線なのかがあらかじめ明示されているかどうかが重要です。

3.サポート体制(言語・時間・手段)

海外eSIMは日本国外で利用する商品のため、トラブル時には“遠隔で解決するカスタマーサポート設計”が前提になります。日本語対応の有無、チャットかメールか電話なのか、営業時間、一次返信の速さ。ここは単純な金額差以上に大切なポイントです。

特に「日本語対応可能」「24時間365日対応設計」「安定した顧客対応品質」を重視する場合、必ずしも有人対応だけが優れているとは限りません。自動応答やチャットベースでも、結果としてユーザーファーストになっているケースがあります。この点も購入前に確認してほしいです。

4.制限条件の透明性

無制限回線の定義や速度制限がかかる条件、テザリング利用の可否などが明確に書かれているかどうかは重要です。
注意事項の書き方が不親切なサービスほど、後々誤解が生まれやすいので、はじめてのeSIM利用が悪い思い出にならないように、困った際には相談できる窓口があるかも含めて確認するとよいと思います。

市場全体の方向性としても、eSIMは拡大傾向にあるため、これからは「金額だけの最安比較」より、「失敗しないための購入前比較」が主流になっていくと思います。


2-2 初心者がつまずきやすいポイント

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eSIMは便利な一方で、物理SIMと違って「買って差し込めば終わり」ではありません。

初めて使う人ほど、設定や制限条件の理解不足でつまずきやすい傾向があります。

ここでは、実際に失敗しやすいポイントを具体的に聞きました。

Q3. 初心者がeSIMで失敗しやすいポイントを3つ挙げるとしたら何でしょうか?

富塚氏

はじめてeSIMを使用するユーザーが、最初につまずくポイントとしては、次の3つがあると思います。

どれも「仕組みを知らない」ことに起因するものなので、先に知っておけば対処可能です。

1.eSIMのインストールにはインターネット環境が必要

eSIMは購入後にプロファイル(回線設定情報)をダウンロードして、初めて使うことができます。そのため最初の設定時にはインターネット環境が必要です。この点を把握していないと、海外到着時にフリーWi-Fiを見つけられず、困ってしまうこともあります。eSIMプロファイルのダウンロードだけは、購入直後、日本国内にいる間に先立って済ませておくことをおすすめします。

2.eSIMなら無制限に使えるわけではない

通信業界では、FUP(Fair Usage Policy:公正利用方針)という考え方があり、短期間に大量のデータ通信を行ったユーザーに対し、通信速度制限や一時的な利用制御が入るケースがあります。
すべての契約者が公平に通信を利用できるようにするための考え方ですが、ユーザー目線では「無制限と書いてあったのに思ったより自由ではない」と感じやすい部分でもあります。購入前には、「一定容量到達後の速度」や「制御条件」の記載がないか確認しておくのがよいと思います。

3.eSIMを買えば、音声通話もPC利用もできるわけではない

SIMにはデータ通信のみのものと、音声通話が可能なものがありますが、eSIMはデータ通信専用の商品も多いです。さらに、テザリングが使えないケースもあります。
旅行中にPCも使う予定だった、通話もそのままできると思っていた、といった用途が明確な人ほど、この確認不足でつまずきやすいです。


Q4. インターネット環境がないとインストールできない問題は、実際によくあるのでしょうか?

富塚氏

あります。

この問題は、多くの日本人利用者が直面しやすい課題だと思います。

eSIMが一般的な選択肢として浸透した国のユーザーは既に知っていることも多いですが、日本人のお客様は海外渡航のタイミングでつまずき、お問い合わせいただくことが少なくありません。

eSIMは購入後にプロファイルをダウンロードして初めて使えるので、この点については事業者側からの情報提供も非常に重要だと思います。


Q5. インターネット環境がない場合、どう対処すればよいでしょうか?

富塚氏

この点の解決策は、次の2つに分けて考えると分かりやすいです。

1.理想は、日本国内で事前にインストールを済ませておくこと

自宅Wi-Fiなどの安定した環境でプロファイルを入れておけば、現地では回線をオンにするだけで済むケースが多いです。

2.現地で対応する場合は、空港やホテルのWi-Fiを使うこと

渡航先では、空港Wi-FiやホテルWi-Fiが現実的です。ただし、Wi-Fiが混雑して遅い、ログインが必要、VPN制限があるなどの事情で詰まってしまうこともあります。初心者ほど、事前インストールをおすすめします。

国内eSIMも同様で、フリーWi-Fiよりは自宅などの安定した環境で対応するほうが安全だと思います。


Q6. 「使い放題」や「無制限」は、どのように理解すればいいのでしょうか?

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やはりユーザー目線に立つと、FUPの観点の理解はそれほど進んでいない印象です。
そうした状況を踏まえて、「使い放題」や「無制限」は、今後どのようにユーザーは理解すれば良いでしょうか?アドバイスをください。

富塚氏

確かに通信業界における「無制限」の表現には、業界特有の言い回しがあると感じています。

まず前提として、通信は帯域を共有する構造になっているので、極端なヘビーユースが増えると、同じエリアにおける回線速度が落ちていきます。

朝だけ遅い、特定の駅周辺だけ通信が不安定、といった現象も、こうした回線混雑が関係していることがあります。

このような状況で関わってくるのがFUPです。

FUPの考え方に基づけば、無制限プランであっても、一定条件下では全体の回線品質を保つために速度低下や再接続が発生することがあります。

そのため、現在多くの通信事業者が使う「無制限」という言葉は、たいていの場合「一定容量を超えたからといって、すぐに追加課金になるわけではない」という意味で使われており、「常に最大速度で使い続けられる」ことまで約束する言葉ではない、と理解しておくのが現実的です。

初心者の方は、次の2点だけ確認すると失敗しにくいです。

  1. 高速通信はどこまで使えるのか(例:1日◯GB、合計◯GB)
  2. 制限後の速度はどの程度になるのか(例:1Mbps、128kbpsなど)

業界側には、国や回線卸の条件、ローミングコスト、混雑状況が変動するという事情があります。

その中でも親切な事業者ほど、これらの注意事項を分かりやすい位置に明記していると思います。


Q7. テザリング制限やサポート体制の違いは、どこを見れば判断できますか?

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ここまでで、eSIMを提供する事業者によって、テザリングに制限がある・サポート体制が異なるということがわかりました。
利用する立場としては、どこを見れば「自分のニーズに見合った事業者」だと判断できるのでしょうか?

富塚氏

確認するポイントとしては、次の3つがあります。

eSIMを契約する前に確認すべき3つのポイント

1.利用規約やFAQに「Tethering」「Hotspot」などの記載があるか
2.「使える/使えない」が明言されているか
3.サポート窓口がどこにあるか(メールのみ、チャットのみ、日本語の有無、対応時間など)

海外系サービスだと、「英語チャットのみ」「電話なし」は珍しくありません。

初心者ほど、日本語で、どの手段で、どの時間帯に助けてもらえるかを基準に入れておくのがおすすめです。


2-3 用途別に見るeSIMの使い分け

eSIMは一括りに語られがちですが、実際には下記のような「用途別分類」ができるのでは、と編集部では考えました。

eSIMの用途別分類の提案

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  • メインeSIM(電話番号ありのメイン回線)
  • サブeSIM(データ通信専用/2回線目)
  • スポットeSIM(プリペイド/買い切りなどで短期データ利用および海外旅行用途)

編集部が整理した3分類が、現場感覚として妥当かどうか聞いてみました。

Q8. 編集部でeSIMのカテゴリを整理しました。この分け方は現場目線でも妥当でしょうか?

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どうにか読者のみなさんにeSIMの役割をわかりやすく説明するために、カテゴリ毎に分けてみました。どうでしょうか?

富塚氏

いいですね。

これらの区分は、eSIMを実際に利用する現場の目線から見ても妥当だと思います。

価格ではなく用途で分けているので、初心者でも迷いにくい整理です。

各カテゴリに合うユーザー層を考えると、大きく以下のように整理できます。

①メインeSIM(電話番号ありのメイン回線)

普段使いのスマホ回線を、物理SIMからeSIMに完全移行したい方向け。
直近では大手キャリア各社だけでなく、povo・ahamo・LINEMOなどのサブブランドもeSIM領域への注力を進めており、今後さらにサービスの拡充が進んでいくと思います。
普段使い回線をeSIMに切り替える際には、事業者の選び方やキャンペーン活用など、また別のポイントもあります。この点については、別の機会に詳しく解説したいと思います。

②サブeSIM(データ通信専用/2回線目)

普段使いの回線とは別に、短期間だけデータを足したい方向け。
ライブやイベント参戦時、出張先での利用、月末のギガ不足対策など、「ギガのちょい足し」用途で国内eSIMを活用する方は増えている印象です。
国内で使えるeSIMサービスも増えてきているので、自分の用途に合ったものを探しやすくなっていると思います。

③スポットeSIM(プリペイド/買い切りなどで短期データ利用および海外旅行用途)

現地到着直後から通信したい人、空港でSIMを購入する手間を避けたい方や国内で買い切りでデータ通信をしたい方向け。
この領域は旅行市場の伸びとともに急速に広がっており、今後も最もサービス提供が活発になる分野のひとつだと思います。先に触れた「CCS Insight」でも、トラベルeSIMのプロビジョニング数は2030年に2.8億へ達する見通しが示されており、今後もユーザー体験の主戦場になる可能性が高い領域です。

3 eSIMカテゴリ比較表

eSIMは「安いサービスを探す」よりも、自分の用途に合った“使い方”を選ぶほうが失敗しにくい通信手段です。

これまでの「携帯電話サービス=物理SIMサービス」に関しては、端末契約と物理SIMサービスが癒着し、「端末の割引率が高いから選ぶ」というかなり歪な構造でした。

そこでは「端末の割引率」が契約の判断材料となっており、実際に支払う月額費用や、通信品質、サービス品質に関しては、契約者にとってあまり大きな比較・意思決定の判断材料にはなってこなかったように編集部では考えています。

しかし、eSIMが登場し、端末と回線契約が分離し始めたことで選ぶ基準が明確に変化してきています。

端末割引合戦が終了し、比較対象が徐々にサービス価格だけでなく「サービス内容」が注目されるようになってきたのです。


富塚氏の話でもわかったように、現在のeSIMの選び方に関しては、これまで体験した「物理SIM」の選び方とは明確に異なったフェーズとなってくることが予測されます。

これまで「サービス価格」を重視してきた方がつまずきやすいのは、利用開始タイミング・テザリング可否・サポート体制(言語/連絡手段)など、料金表では見落としがちな部分です。

そこで本章では、サービス名を並べるのではなく、eSIMを 3つのカテゴリに整理し、違いと選び方の軸を比較表でまとめます。

本表は特定サービスの優劣を示すものではなく、用途別に“選び方の軸が変わる”ことを整理した比較表です。

まずはこちらのマップをみてください。

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これは下記の3つにeSIMのジャンルをカテゴリー別に分けた図です。

  • メインeSIM(電話番号あり)
  • サブeSIM(データ専用/2回線目)
  • スポットeSIM(プリペイド/買い切り

このように、現在提供されているeSIMサービスは「メイン」「サブ」「スポット」の3つのカテゴリに分類できます。

この図を元に、各ジャンルについて解説していきましょう。

① メインeSIM(電話番号あり)|国内MNO/MVNO

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最初に紹介するのが「メインeSIM」です。

これは従来の物理SIMカードで使っていた電話番号をそのまま引き次ぐ前提のeSIMとなっており、通信の核となるものです。

メインeSIMは「月額契約」が基本となっており、SMS(電話番号でやりとりするショートメッセージ)用いた本人認証や電話番号を使った通話、パケット通信が主な利用用途となります。

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多くの方が普通に使っているのがこの「メイン」です。

このメインeSIMに求められる条件は「安定した通信」と「間違いなく電話番号が引き継げる(MNPの仕組みが確立している」という二点です。

この条件を満たすのが「大手キャリア(MNO)」・「サブブランド・オンライン系」・「格安SIM(MVNO)」の3つです。

メインeSIMの代表例

大手キャリア(MNO)例

  • docomo(NTTドコモ)
  • au(KDDI)
  • SoftBank(ソフトバンク株式会社)
  • 楽天モバイル(楽天モバイル株式会社)

サブブランド/オンライン系 例

  • UQ mobile(KDDIーサブブランド)
  • Y!mobile(ソフトバンク株式会社ーサブブランド)
  • LINEMO(ソフトバンク株式会社ーオンライン専用)
  • povo(KDDI Digital Lifeーオンライン専用)
  • ahamo (NTTドコモーオンライン専用)

など

MVNO(格安SIM)例

  • IIJmio(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))
  • mineo (株式会社オプテージ(関西電力グループ))

など

※格安SIM系事業者はすべてがeSIMに対応しているわけではない点に注意が必要


② サブeSIM|電話番号2台持ち・データ専用など

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「デュアルSIM」という概念が登場してから、「サブ」という考え方が生まれました。

最近のスマホは「デュアルeSIM」もしくは「物理SIM(nanoSIM)+eSIM」構成が増えてきているため、データ通信のみを安価なサブで行うケースが増えてきています。

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イメージしやすいサブeSIM
  • 二つ目の電話番号を持ちたい(仕事用はサブeSIMにする)
  • データ通信専用eSIMを契約してキャリアよりも安く使いたい
  • メインeSIMの乗り換え前にサブeSIMで使用感を確かめたい

このサブeSIMに関しては、基本的には「メインeSIM」と同じく月額契約型となっているケースが大半です。

ただし、メインeSIMで「大手キャリア」を使う場合が多いため、サブeSIMとして利用されることが多いのは、メインeSIM系から大手キャリア系を除いたものとなります。

サブeSIMの代表例

サブブランド/オンライン系 例

  • UQ mobile(KDDIーサブブランド)
  • Y!mobile(ソフトバンク株式会社ーサブブランド)
  • LINEMO(ソフトバンク株式会社ーオンライン専用)
  • povo(KDDI Digital Lifeーオンライン専用)
  • ahamo (NTTドコモーオンライン専用)

など

MVNO(格安SIM)例

  • IIJmio(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))
  • mineo (株式会社オプテージ(関西電力グループ))

など

※格安SIM系事業者はすべてがeSIMに対応しているわけではない点に注意が必要


③ スポットeSIM|買い切り・短期利用に向くカテゴリ

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日本で発売されたiPhone17が「eSIM専用」となったことで注目され始めたのが「買い切りタイプ」のいわゆる「スポットeSIM」と言われるものです。

これは月額契約を必要としないため、下記のような「スポット利用」に向いています。

別名称としては「プリペイドeSIM」とも呼ばれます。

スポットeSIMの主な利用用途

国内利用の場合(国内スポット系)

  • 国内旅行(1泊2日から1ヶ月程度)
  • イベント利用
  • ギガ不足対策(メインSIMのパケ死)

国外利用の場合(海外旅行系)

  • 海外旅行(単国渡航)
  • 海外旅行(周遊プラン)

こうした「買い切り=スポット系」を有名にしたのはpovoでしょう。

スポットeSIM(期限付きデータの都度購入)はpovo以前から旅行用途を中心に存在し、povoはそれを“国内回線の料金設計”として一般層に分かりやすく普及させた成功例です。

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現在では、“完全スポット系”の国内eSIMとして、IIJ(IIJmio)が「Japan Travel SIM(eSIM)」がコンビニ店頭で買えるようになったなど、一般的に普及してきました。

スポットeSIMの代表例(国内スポット系)

サブブランド/オンライン系 例

  • povo(KDDI Digital Lifeーオンライン専用)

(買い切りトッピングとして利用)

MVNO(格安SIM)例

  • IIJmio(株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ))
  • プリペイドSIMどっとこむ(株式会社モバイル・プランニング)
  • Nippon SIM for Japan(株式会社DHA Corporation)
  • SkyeSiM(株式会社FREEDiVE)

など

※格安SIM系事業者はすべてがeSIMに対応しているわけではない点に注意が必要

スポットeSIMの代表例(海外旅行系)

  • Holafly(Holafly Limited(アイルランド法人))|データ専用
  • Airalo(AirGSM Pte. Ltd.(シンガポール法人))|データ+一部音声通話
  • World eSIM(株式会社ビジョン)|データ+一部音声通話
  • trifa(株式会社トリファ)|データ専用
  • SkyeSiM(株式会社FREEDiVE)|データ専用

など

eSIMマップの別視点

電話番号の有無と利用期間の2軸のカテゴリマップだと、より簡単にカテゴライズできます。

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右上に「利用期間が長く電話番号あり」のエリアに月額契約が必要やキャリア系eSIMや格安スマホ系のeSIMサービスが集中し、左下の「電話番号を持たず利用期間の短いゾーン」には、プリペイドeSIMやサブブランドのトッピング方eSIMサービスが並んでいます。

4 結論

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以上、2026年のeSIMトレンドと富塚氏のインタビューを元にした市場整理について解説してきました。

eSIMは価格も重要ですが、それ以上に 用途と体験(利用開始タイミング/テザリング可否/無制限の条件/サポート) が満足度を左右します。

eSIMは“安さ”だけで選ぶ時代から、“自分の使い方に合うか”で選ぶ時代へ移りつつあります。

海外旅行、サブ回線、普段使いの主回線など、目的に応じて選び方の軸を変えることが、失敗しないeSIM選びの近道です。

本記事の整理が、あなたに合ったeSIM選びの参考になれば幸いです。

AiR-WiFi MagazineはFREEDiVEが総括し、編集企画・取材・執筆は外部編集者が担当しています。

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